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終章(中盤) アニメDVD販売戦略


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・ニコニコのみでのプロモーション効果
ここまでテレビ放送によるマイナス影響を述べてきた。しかし、テレビ放送は悪影響以上に広告効果が大きいのでは、と疑問を持つ人もいるだろう。
その点も踏まえ、販売戦略を考えていく。

録画されることの悪影響が大きいのは確かだが、ニコニコでの合法配信のみにした場合、プロモーション効果がテレビより弱まる可能性がある。
録画というデメリットをなくせるプラスの効果より、そのマイナス効果が極端に大きければ結局意味がない。
しかし、多少マイナス効果が大きいくらいなら、テレビ放送の中間搾取がなくなり、コストが大幅に安くなるメリットも考えると、トータルではプラスだ。
では、ニコニコでの配信のみにした場合、今までと比べプロモーション効果がどうなるだろうか。

まず、ニコニコ配信のみにしても、買う見込みのある層は高確率で見に来てくれると期待できる。
(根拠はブログで……)
このことだけでも、マイナスは少ないと言えるだろう。

アニメDVDを買うようなターゲット層の内、どれくらいがニコニコアカウントを持っているかを推測してみる。(正確なデータは出しようがないので)

・ニコニコユーザーはライトユーザー含め400万人(もっと?)いるが、その中のアニメ好き比率は異常に高い。これは、人気動画の傾向やカテゴリごとの賑わいからも明らか。

・深夜アニメでの最高水準の視聴率4~5%でさえ、多く見ても300万人くらい。人気アニメの場合なので、当然アニオタ以外の人の方が多い。ようするに、アニオタ自体何百万人もいるわけじゃないことがわかる。

この2点から、全国のアニオタの大多数がニコニコアカウントを保有していると推測できる。
さらに、アニメDVDのターゲット層に絞れば、ニコニコは一切見ない、という人がたくさんいるわけがないことは容易に想像がつく。
それでも、ニコニコでのアニメ再生数が10万くらいなのは、二コニコのアカウントも持ってるけど、テレビ放送で見ていた、もしくは録画していた、という人がたくさんいるからだ。
であれば、ニコニコのみで配信することになっても、買う見込みがある層は見に来てくれると期待できる。合法配信ならなおさらである。

それでも単純に合計視聴者数だけで考えれば確実に減るだろうが、もともとテレビを付けていただけのような人や、アニメにそこまで興味のない人に対しては、プロモーションするだけ無駄ともいえる。
当たり前のことだが、ターゲットから遠い層に必死にアピールしても、高額なアニメDVDは売れないのだ。

さらに、ネット配信であれば、1話は常に見れるようにしたり、それ以降のも1週間は見れるようにするなど、自由に戦略を立てれるので、時間帯や曜日に縛られず視聴者を確保できる。
また、1週間は残すと明言しておけば保存する人も減る。
(今は、いつ消されるかわからないので消される前に保存して後で見よう、という人や、時間的に見れないから録画しよう、という人が多い)

また、ここでは深く触れないが、特定のアニメに興味を失う理由の一つとして”見逃し”がある。
2,3クールくらい見てきたものなら話は別だが、原作も知らなく、アニメでも数話しか見てない段階で見逃すと、どうでもよくなりやすい。しかし、ネット配信は見逃しの可能性を大幅に減らす。
よって、脱落者が減るというメリットはどんなアニメにも確実に言えるのだ。

これらのことを統合して考えれば、ニコニコのみで配信しても、広告効果が著しく低下する可能性は低いと分かる。
ニーズの高い層に録画させずに見てもらえるメリットと、テレビ離れによるコスト削減効果も得られるのだから、総合的には明らかにプラスだ。

業界関係者は当然知っているだろうが、涼宮ハルヒの憂鬱はアメリカで”テレビ放送することなしに”大ヒットとなっているし、その勝因として、ようつべに違法アップロードされたもののプロモーション効果があったことを角川歴彦会長も認めている。
(違法うpを認めてるわけじゃなく、客観的効果として)
アメリカの事情はよくわからないが、この成功にはやはり”録画できない効果”もあったと考えるのが自然だ。
すべてが同じようにいくわけではないだろうが、テレビ離れのきっかけとして捉えることはできるはず。


テレビ放送とGYAO配信を同時にするというアニメがあるようだが、こういうのを見るとやはりマーケティング能力が低いと言わざるを得ない。
アニメを配信するなら日本ではニコニコ以上の所はまずないだろうし、GYAOの使い勝手の悪さはとてもユーザーのことを考えているとは思えない。初心者は見ることすら出来ない人もいるのだ。
ダウンロードから保存されにくいからなのかも知れないが、高画質・高音質の録画はいいだけさせておくくせに、少数のダウンロードにだけ敏感になる神経がわからない。
また、テレビと同時ということはコスト的にも増えるので、リスクも高くなる。ようするに、穴だらけの戦略なのである。

※某ネットラジオで”汗かいて作ったものにお金を払わなくなっちゃった”みたいにアニメプロデューサーが言っていたが、これに対しては、ブログで……

お金を払わない層にいちいち腹を立ててもしょうがない。
というのも、ドラマ・アニメはファンでさえもDVDを買わない方が一般的であり多数派だ。
このことは、ドラゴンボールを好きな人の数と、ドラゴンボールのアニメDVDを持っている人数を調べれば一発でわかるはずだ。音楽だって、アニメほどではないにしても、いちいち好きな曲全部のCDを買ったりしない。

こういう人たちをファンとして認めず、好意的に見ることが出来ないのであれば、ただただ市場そのものをアンダーグラウンドへと導いてしまう。
確かに、利益を与えてくれるのは、お金を使ってくれる人だけだ。しかし、雰囲気を盛り上げてくれる人たちは、いつだって多数派の買わない人たちだったはず。
DVDを買うほど好きな人も当然色々貢献してくれているだろうが、人数という点ではそれ以外の人の方が多いのだから。

それを踏まえて現状を考えてみて欲しい。
アニメ好きを多数含むニコニコユーザーが盛り上げやすい環境にあるだろうか。現在のニコニコに対するイメージは、アニメを口コミで広めることに対しての障害になっているのではないか……と思う。
もし、制作関係者側がニコニコと友好的な関係であることを具体的に示せれば、世間の見方も変わるのではないだろうか。それは、アニメ業界全体の発展へと繋がるはずだ。


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Comment

No title

アニメのテレビ放送には「原作の販促宣伝」という役割があるのです。
上で例に挙げられている「涼宮ハルヒの憂鬱」の原作の例でもその効果は顕著です。
テレビ放送は一方的に垂れ流されるものであるため、「なんとなく見る」「時間があるから見る」という人たちがたくさんいます。その人たちはDVDは買わなくても、数百円の原作コミックや小説は購入してくれます。それが原作の売り上げ増につながり、アニメに出資した出版社や原作の版権を持つ企業の利益になるのです。
しかしネット配信ではこの「なんとなく」「暇だから」という原作を知らない人たちに対する訴求力が圧倒的に不足しています。インターネットで情報を検索し、情報を得るためにはその対象に対する興味がなければそもそも不可能だからです。
よって、アニメの出資者である出版社や原作の版権を持つ企業にとってネット配信というのは「あまりおいしくない」ということになります。

No title

私は何となくインターネットをやってます。暇でもほとんどテレビは見てません。
アニメが見たくてもその時間帯にアニメはやっていないからです。

ニコニコにアップされているアニメのほとんどは深夜アニメ。深夜に何となく起きていてアニメを見る人がどれくらいいるだろうか。私のような何となくネットでアニメを物色してた人も結構いるのではないかと思います。

また、ネットだと欲しいものがボタン一つで買えて家に届く。店に行って買わなくてもいいというのはありがたいですよ。
大人がアニメにを見ることにまだまだ偏見が多い世の中ではお店でアニメを買うのも恥ずかしいですし、原作も表紙の絵柄でアニメだとすぐに分かってしまう。
ニコニコを見る前はアニメなんて一切見ませんでしたし、もちろん買ってもいませんでした。ニコニコがアニメに触れる機会だったのは間違いありません。
ニコニコでのアニメ公式配信に反対の人たちを否定したいわけではありません。私が知らないような難しい問題がたくさんあるのだと思います。私のような人間も世の中にはいるのだと分かってください。

No title

>>しかしネット配信ではこの「なんとなく」「暇だから」という原作を知らない人たちに対する訴求力が圧倒的に不足しています。インターネットで情報を検索し、情報を得るためにはその対象に対する興味がなければそもそも不可能だからです。
不足しているのは事実かもしれないが、圧倒的に不足とは言い切れないと思う。
現にニコニコ動画などではMADという口コミも存在していて、そこから原作を購入し始めた人間も少なくはない。
特にアニメは見たいけどTVという限定された箱の中で見ることは嫌いという層は存在していて
それがあるからこそニコニコ動画等で見る人が増えた。

また、興味がある→インターネットで見る。というベクトルも成り立たない。
私はアニメには興味がある。だが見たいと思うアニメを調べる要素がないから、
ベクトルは、インターネットで見る→興味がわく。という可能性がある。
『TVをつけたらたまたまやってたのと見た。』と、『配信されたのをたまたま見た』は同じようなレベルでしょう。

No title

ニコニコMADのせいでなのはDVDを一気買いする羽目になった俺が通りますよっと。
金が・・・

No title

確かにテレビによる宣伝効果というのは無視できないと思います。
しかし、宣伝を見た人=購買層とはならないのもまた事実です。

なんとなく視聴していたモノが目に留まるというのは、結局のところ、視聴している人の興味のあるモノに限られるのではないでしょうか。少なくとも私自身はそうです。
余程インパクトのあるモノであれば目にも留まるでしょうが、そうした例はあまり多くなく、目に留まったところでそこから実際の行動(購買)につながるというのは稀なことだと
思います。

であるならば、結局のところ実際に原作を購入する層というのは、多少なりともそのモノに興味があり、尚且つ実際に視聴して面白いと感じた人に限られるのではないかと。
「涼宮ハルヒの憂鬱」が売れたのは、その宣伝方法(この場合実際に宣伝となったのはYoutube、テレビによる宣伝だけではあそこまで反響は大きくならなかった)だけでなく、実際にそれを視聴した人を満足させるだけのクオリティがあったということを忘れてはいけません。

どんなに過度な宣伝をしたところで、そのモノ自体に興味も関心もない人たちにいくら宣伝をしたところで暖簾に腕押し、とまでは言いませんが、あまり効果は期待できないのではないでしょうか。

マーケティングの基本はターゲットを絞ること。
そういった意味ではネット配信というのは面白いアイデアだと思います。
少なくとも、アニメに興味のない層から無差別に新たな顧客を開拓していくよりは、多少なりとも興味のある層にアプローチをしていく方がより建設的なのではないかと。
デメリットもあるでしょうが、実際にそれを上回るメリットが見込める可能性があるというのであれば、行動を起こしてみるのも面白いかもしれません。

No title

あえて無視してるのか知らないのか、多分後者だと思うが一応言っておく。

すでにネット配信は行われている。
http://www.dmm.com/digital/bandai/-/title/=/title_code=1148/page=1/#list_anchor
一話無料。2話以降は大体一週間100円。まとめて買えばさらにお得。
クレジットカードが必要だから少々辛いかもしれんがな。

画期的にも関わらずなぜか無名。なぜ?DVD買うよりよっぽど安いのに・・・・・・


現状を憂い、行動を起こしたあなたのその姿勢は立派だが、権利者を世の流れが見えない馬鹿と断じて、現状を知らぬ穴だらけの意見を押し付けるその態度は傲慢極まる。

はっきり言ってあなたの文章は「頭の良い俺が、馬鹿どもを見下す」感があって非常に気に入らない。

ハルヒ虎さんはこの世にいる自分以外のすべての人間が馬鹿だと思っているみたいだが、世の中馬鹿ばっかりじゃないということだけは覚えておいて欲しい。

それなりに普通の頭を持った人間たちが、それなりの頭を振り絞って考え行動し、互いに影響しあって今の現状がある。現状は動かないわけじゃない、今も動き続けている。

雑な文章で申し訳ない。

No title

頭が良ければ何でも知ってる訳じゃないんだ。
それに、それなりは所詮それなりなんだよ。

No title

アニメ制作会社が深夜放送に替わりニコ動で放映を始めると、
放送局側から圧力がかかるんじゃないですかね?
テレビ放映とニコ動放映の両建ては実現が難しいのでは。

新興スタジオが、ニコ動発のオリジナルアニメでスマッシュヒットを飛ばせば、
状況は動くと思う

No title

>>すでにネット配信は行われている。
http://www.dmm.com/digital/bandai/-/title/=/title_code=1148/page=1/#list_anchor
一話無料。2話以降は大体一週間100円。まとめて買えばさらにお得。
クレジットカードが必要だから少々辛いかもしれんがな。

知ってるけどなんか全く見ようと思う気が起こらないのは何故だろうか?
取りあえず世間の気持ちがちっとも解ってないのは事実じゃない?
権利者が世の流れを見えてないというか見えてても動けないって気もする
あと一話がすっごい面白いアニメって少ないと思う。

>画期的にも関わらずなぜか無名。なぜ?DVD買うよりよっぽど安いのに・・・・・・

いやいや、そういう問題じゃないと思うよ。
これだったらDVD買った方がいい気がするんだ。

No title

>>すでにネット配信は行われている。
これに関しては同意
はるひこ氏が忘れていたのかどうかは詳細を決め付ける事は出来ないが
少なくともニコニコ動画があるせいで、ネット配信した番組が売れない。もしくはビジネスを展開できない
そういう事情は間違いなく通じるでしょう。

また、角川のようにyoutubeを選んで独自のチャンネルを開いたケースもある
はるひこ氏と似たような戦略を考え、今もなお行動し続けているケースだ。
ニコニコ動画とは違ってyoutubeは海外進出を最もしやすい位置にあり、製作したアニメの作風にあっているかあっていないかを会社側が最終的に判断する。
その点を考えると最も合理的選択を既に行っているのだ。
いや、最もは言いすぎか。だが、角川が選んだ最も合理的選択であることは間違いない。
つまり、既にyoutubeを選んでいて、画質などのクオリティーもほぼ同条件といえる。
また、はるひこ氏が指摘したTV側の悪行等もこの件に関しては関係がない。
TVかネットかではなく、ネットか許可されていないネットかの選択だからだ。
その点を考えるとニコニコ動画に無許可で配信されている動画は削除するのも道理といえる。
その事に関してどう考えているかを知りたい。

No title

ハルヒ虎さんの意見にはみるべき点があった。が、金儲けは悪ではないと言っている反面広告代理店やテレビ局は悪だとする点に疑問が残る。極論すれば、代理店も局も金儲けの為にやっている。その基本はできるだけコストを減らしてできるだけリターンを大きくすること。ただ彼らはそれを忠実に実践しているにすぎないとしたら、どういう反論があるのだろうか?もしアニメが儲からなければ、彼は資本を引き上げ黙って撤退するだろう。
また、もし彼らも「搾取」が許せないというならば、「金儲け」と「搾取」の分解点を明示しなければ、他者を納得させることはできないだろう。
また、そもそもハルヒ虎さんは何について怒っているのだろうか?他者の無知?無関心?搾取?社会?それとも全部?

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