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1章 制作会社が儲からない理由


   <<テレビ局支配からのアニメ開放 TOP>>
        ↑↑TOPに目次と各章へのリンク有り

制作会社が儲かる方法を考える前に、現在の儲からない原因を考えてみる。なぜ、儲からないのか。主な原因として次の3つが考えられる。

①DVDが売れない
②著作権がない
③中間搾取

①DVDが売れない
ここではまず、アニメ本数の激増が購入者の分散を招いていることが原因として挙げられる。
これはよく言われていることだが、さらにいうと、このアニメ本数の激増は”製作委員会方式の導入”が原因と考えられる。

製作委員会方式とは、複数の会社が出資し、出資比率に応じ利益を分配する制度である。失敗した時のリスクを分散する効果もあり、出資しやすくなる。そのため、アニメが量産型ビジネスにシフトし、クオリティの低下や本数の激増が起こった、と考えられる。ちなみに、現在のアニメの約8割がこの方式だ。

もう一つDVDが売れない原因として、違法アップロードを挙げる人もいるが、現時点ではこの仮説には無理がある。理由は終章とブログで……


というのも、もし、著作権侵害が原因ならば、アニメ市場そのものが縮小するはずなのだ。現時点では、明らかな縮小傾向が見られるわけでもなく、むしろ伸びていると言えるだろう。
このことは、日本映像ソフト協会の2007年上半期(1月~6月)統計調査結果報告(pdf注意)4ページのグラフを見てもらえればわかる。

これに関しては、本数が激増したのだからもっと売上げは伸びていたはずだった、という反論もあるが、それはおかしい。というのも、本来急な商品数増加というのは、過当競争を招き市場全体の売上高を縮小する要素になりやすいのだ。そもそも、アニメにお金を落としてくれる層はある程度固定化されており、その人達はアニメの種類が増えたことは選択肢が増えたに過ぎず、予算を増やす原因になるとは限らない。

個別の事例を見ても、涼宮ハルヒの憂鬱の英語吹替版では、字幕付きで違法アップロードされたものが海外でプロモーション効果を果たし成功した例や、著作権侵害ファイルと上手く付き合うことで成功したらき☆すた、などがあるように、市場を牽引した作品では著作権侵害ファイルの効果もあることがわかる。
確かに、このことだけで、すべてを判断することはできないが、「著作権侵害が売れなくしてるのは間違いない」という意見は間違いだといわざるを得ない。
違法アップロードが、アニメDVDを売れなくしているわけではないことは、終章ではっきりわかるはず。

やはり、2005年から06年にかけてアニメ本数が約1.5倍になっていることからも、明らかに本数が多すぎることがDVDが売れない原因だろう。


②著作権がない
現在、アニメ制作では製作委員会方式が大半であり、これは資金力があるところが絶対優位だ。この方式のおかげで出資できるようになった下請け会社もあるようなので、一概には言えないが、基本的にアニメ制作の下請け会社に著作権はない。(製作委員会方式じゃなくてもない)あっても小額の出資分だろう。

これではヒット作が出ても儲からない。
ということは、常に”ヒットしないことを前提とした定額料金”しか得られないことになる。
そもそもアニメ業界とは、ヒットが出るとでかいからこそ成り立っているのに、その恩恵だけは決して受けられない会社は、経営が厳しくなって当然と言えるだろう。



中間搾取とは、ありていに言えば、テレビ局と広告代理店のことである。
これはアニメ制作者側の選択肢の狭さにも原因があると思われる。テレビで放送しないと販売戦略が成り立たず、広告代理店を通さないとテレビ局と交渉できないのだ。これでは、言い値で払うような立場関係になってしまう。
中間搾取についてはかなり根が深く、仕組み上の問題もあるので、その辺は動画を最後まで見てもらえれば色々分かるはず。

[参照サイト]……共通してるサイトは、他の章で張ってるので1章は少なめ。
アニメや映画の製作委員会って何?
アニメ制作会社 wikipedia


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Comment

No title

こっちに書くべきだったかな?

ここにはアニメ制作、広報、放送の予算について間違った認識を持っている人がいるようです。もし仮にアニメについてのお金の流れが、

製作委員会が適当に予算を準備
 ↓
広告代理店とテレビ局が適当に好きなだけお金を抜き取る
 ↓
残りをアニメの制作会社へ

という流れであれば、確かに広告代理店やテレビ局の中間搾取といえるでしょうが、そんなことはありえません。実際には、

広告代理店が予算の見積もりを出す
 +
アニメ制作会社が予算の見積もりを出す
 +
放送局数によってテレビ局に支払う金額が決まる
 ↓
これらをすべて合計した金額を製作委員会が集めて出資する

という流れです。つまりテレビ局の取り分が2000万円、広告代理店の取り分が2000万円、アニメ制作会社の取り分が1000万円であったとして、テレビ局と広告代理店抜きでアニメを作るとしてもアニメ制作会社の取り分が5000万円になることはなく、制作委員会の出資額が1000万円になるだけだ、ということです。

No title

ハルヒの映画でも作ってみたらいいんじゃないかね。
DVD買わないけど、映画なら見に行くような奴は多いだろうし
どの程度アニメ人口が拡大してるかわかりそう。

No title

まったくですな
人々が余暇に時間を費やす時間は変わらないとして仮定して(事実そうでしょう)
人口も変化なしでDVDを買う層も変わらない
タクシーの運ちゃんがたくさんできても一人のおこぼれは減るのみ
今携帯会社が3つですけど10に増えたとしたら殆どの会社で契約者は経るのみ

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